正の約数の個数と総和を求める公式の解説~高校数学(数A)場合の数
題材:オリジナル問題:正の約数の個数と総和 |
難易度:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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こんにちは、坂田です☆
今回は、正の約数の個数とその総和、についてオリジナル問題で解説します。
この例題は、教科書レベルや白チャートや黄色チャートの基本レベルなので、定期テスト対策などで困っているかたにも存分に利用してもらいたいと思います。
それではさっそく問題を見てみましょう。
題材:正の約数の個数、約数の総和 |
難易度:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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この問題、公立高校の標準レベルの高校数学であれば、数Aの教科書の「場合の数」という単元で、1学期に遭遇するテーマです。
高校1年生の数学のなかで、最初に結構つまづきそうな内容なので、今回はこのテーマ(約数の個数と約数の総和)を扱います。
また、高校入試において、数学の難問を課す私立の受験対策にとっても必要になってくる単元です。
公式をそのまま暗記して使っても良いのですが、できれば理解できていたほうが、忘れても自力で思い出せるので、説明をご覧いただければと思います。
じゃあ問題を解いていきましょう。
まず、正の約数の個数、について考えていきますが、問題の意味がわからない方のために(1)は、答えを先に見てもらいますね。
こんな感じですね。
18の約数はこのように、
1、2、3、6、9、18、と
6個あります。
正の約数の個数を求めよ、というのは、この個数を聞かれていたということですね。
まあ、この問題のように、18という小さな数字だったらこんな風に一つひとつ書き出していけば解答することも簡単です。
けれど、たとえば(3)の720のように、数字が大きくなってくると、それもなかなか難しくなってしまいます。
そんなときのために、解き方の手順を身に付けましょうということが今回のメインテーマです。
なので、正の約数の個数が6個ということはわかっているんですが、これを計算によって導き出す手順と、その説明をこれからご覧いただこうと思います。
正の約数の個数を求める公式の解説
まず、18を素因数分解します。
18という整数は2×3×3という素数の掛け算で表現ができます。
2が1個
3が2個
あるわけですが、例えばこのなかから2を1個、3を1個選んで掛け算をしてみます。
2×3で6になりますね。
この数字は
18の約数である
1、2、3、6、9、18のなかにありますね。
では、2を0個、3を2個、選んで掛け算をしてみます。
3×3で9ですね。
そして、これも18の約数のなかにちゃんとありますね。
このあたりで、右下の表の意味が、ちょっとわかってきた方もいると思います。
表の縦マスには、
黄色で2の0乗と2の1乗が
表の横マスには
水色で3の0乗と3の1乗と3の2乗が
ならんでいます。
この「なんとか乗」という部分の数字のことを指数と言うのですが
指数が0のときは、さっきの話で言う「0個選んだとき」というように考えてください。
たとえば、縦マスで2の0乗をチョイスして、横マスで3の2乗をチョイスした場合は
さっきそうしたように、2を0個、3を2個選んで掛け合わせたと思ってほしいのですね。
ちょうどその該当するマスには、赤色で9と書かれていますよね。
つまり、縦2マスかける横3マスで構成される、表にある6マスのなかには、18の約数である6個のすべてのパターンが網羅されているということが、これでおわかりになるかと思います。
2通り×3通り=6通りと書かれている部分は、この6マスという数を計算する工程を説明したものだということが理解していただけるでしょうか。
注意していただきたいのですが、2通りというのは素因数の2を表わしたものではなく、
2の0乗
2の1乗
という2パターンを表わした2という数字です。
3通りというのも、素因数の3を表わしたものではなくて
3の0乗
3の1乗
3の2乗
という3パターンを表わした3という数字です。
ちょっとこのあたり、わかったようなわからないような感覚になる方もいると思います。
そんな場合は、とりあえず問題が解けるようになることを優先してください。
計算方法が身についてから、本質を理解したいという場合は、もう一度この説明を見てもらったほうがいいでしょう。
答えの求め方ですが、こんな表をいちいち書いて求めるのは大変ですね。(こんな風に最初に理解するためには必要だったりしますが…)
「縦2マスで横3マスだから、約数の個数は、2かける3マスの合計6マスだから6個だね!」
と考えてもいいのですが、それよりも手っ取り早い計算の方法を覚えてしまいましょう。
結局は18という数字から
2通り×3通り
という式を導きだせればいいですので、このあたりの手順を公式のように身に付けていきましょう。
18という数字を素因数分解すると
2の1乗×3の2乗という表現にかえることができましたね。
それから
2の指数である1乗という情報から
2の0乗と2の1乗という2パターンが縦マスに登場しました。
また
3の指数である2乗という情報から
3の0乗と3の1乗と3の2乗という3パターンが横マスに登場しましたね。
結局この指数にプラス1した数字が、縦マスと横マスの数になっているわけです。
なので、
18を素因数分解して、2の1乗×3の2乗という表現に変えたら
1乗にプラス1した2と
2乗にプラス1した3という数字を
掛け合わせれば
さっきの
2通り×3通り=6通りという
計算をしたのと本質的に同じ工程になります。
最初のうちは慣れないかもしれませんが(2)(3)と練習と慣れを重ねるにつれて、徐々に簡単に感じていきます。
なのでできれば、(2)と(3)は実際に紙とペンを使って問題を解いてみてください。
約数の総和を求める方法
次に「約数の総和を求めよ」という問題ですが。
これも問題の意味をまず把握するために、最初に答えを表示しておきます。
18という数字のしたに6個の約数がならんでいますね。
総和というのは、すべて足した合計の値のことです。
なので
1、2、3、6、9、18という数字をすべて足してゆきます。
合計で39ですね。
総和を求めよ、というのは、これをたずねられていた訳です。
これも18という数字だったので、このように書き出して求めるのも全然アリなんですが(3)でこれをやると大変です。
なので、約数の総和を求める式を導き出す手順を身に付けていきましょう。
赤色で書かれた18の約数が6個ありますが、その下にこのようなものを書き足してみました。
例えば赤色で書かれた1の下には
2の0乗×3の0乗という表現に変化しています。
ちょうど右側の表にある赤色で書かれた6個の約数の下の部分を見てみてください。
そこの部分に書いてある表現に、それぞれ置き換えられているということです。
表現が変わっているだけで、この6個の数字をすべて合計しても、先程と同じように39という答えになります。
そして、「展開」と書かれている矢印があるかと思いますが、矢印の下の式を展開すると、ちょうど矢印の上の式になりますよね。
下の式で茶色の矢印が6本ありますが、
ちょうど2つの項と3つの項が掛け合わさって上の式へと展開されます。
すると6つの項が足し算のかたちでならぶというようになっていますね。
つまり、展開される前にあたる下の式を計算しても、その答えは上の式と同様、39という同じ値になるハズですよね。
この式を展開して計算すると上の式を計算することになります。
それよりも、
2の0乗である1と
2の1乗である2を
合計して3にします。
そして
3の0乗である1
3の1乗である3
3の2乗である9を
合計して13にします。
結局この式は
3×13ということになって
それを計算すれば簡単ですよね。
つまり、ここで身に付けないといけないのは
展開させる前の式を作り出す手順ということになります。
これは(2)と(3)の問題でまとめて説明していきますので、とりあえずここまで理解できたら、次の(2)に進みましょう。
(2)自然数90の正の約数の個数は?
(2)ですがまず、約数の個数を求めてみます。
さっき違う話をしていたので、イメージを思い出すために表も書いておきました。
自然数90を素因数分解すると、
2の1乗
3の2乗
というところまでは(1)と同じなのですが
5の1乗
がよけいに増えていますね。
この三種類の数字を使うと
下の表のように12個のマスができます。
赤色で書かれている数字が90の約数ですね。
全部で12個あるので、90の正の約数の個数は12個あるということになります。
さあこれを式をつくることで求めてみましょう。
表を見ればわかるのですが、この12個という数字は
黄色の2通り×水色の3通り×紫色の2通り
をすればいいということが視覚的にわかるかと思います。
この2×3×2という式は
90を素因数分解した式にある
2の1乗の1
3の2乗の2
5の1乗の1
という指数に対してそれぞれプラスした数字を掛けたもの、ということになります。
ちょっと思い出したでしょうか?
この感覚を持った今の状態で(3)も解いてみましょう。
(3)は720という数字ですね。
この正の約数の個数を求めようとしたら、まず720を素因数分解します。
720は、
2の4乗
3の2乗
5の1乗
がでてきました。
このなかから指数である、4、2、1をとりだして、それぞれプラス1します。
それをすべて掛け合わせた値が、約数の個数にあたるのでしたね。
ということで720の正の約数の個数は30個、ということが判明しました。
90と720の約数の総和
最後に(2)と(3)の約数の総和を求めて終りにしましょう。
(1)の問題の、下のほうにある、茶色の矢印が6つ付いている式を見てください。
約数の総和を求めるときは、この式をつくることを身に付けよう!
という説明のところで話がストップしていたと思います。
この式へとたどり着く手順ですが、まず18という自然数を素因数分解して、そこから下の式を作ることを考えるのが無駄のないルートになります。
勘のいい方は、もうこの段階でわかるかもしれませんね。
18という自然数を、2の1乗×3の2乗というカタチに変化させ下準備します。
2の1乗ということなので、2の0乗から、2の1乗になるまで足したものを用意します。
この場合は、2の0乗+2の1乗ですね。
3は2乗まであるので、3の0乗から、3の2乗になるまで足したものを用意します。
この場合は、3の0乗+3の1乗+3の2乗ですね。
そして、用意したふたつを掛け合わせた式が「約数の総和を求める式」ということになります。
この要領で(2)(3)もまとめて式を作ってみましょう。
どうでしょうか?
このようになりましたでしょうか?
こうなったら、あとはこのように計算をしてゆくだけですね。
どの問題もそうですが、とく手順を知ったら、何度か練習して慣れるための時間をとるだけで、どんどん簡単になっていきます。
定期テスト対策の準備をするときなんかも、こんなふうに、慣れない工程だけ再現する練習というのをやってみることをおすすめします。
解き方は理解していたハズなのに、テスト本番で思い出せなかったという方も多いと思います。
数学って、スポーツと似ているところがあって、ルールだけ学んでもうまくはならないんですね。
解くパターンを知ったら、それを再現できるかどうかの練習というものを繰り返して慣れる必要があります。
理解する時間よりも、この時間こそが、数学を身に付けるトレーニングの時間だと思ってください。
考えて解くことが重要になってくるのは、思考力が関わってくる難問の対策をしたい場合です。
なので、この問題も、まずは練習して慣れてほしいと思います。
以上、自然数の正の約数の個数とその総和を求める問題の公式を解説しました。
おつかれさまです。