n進数の掛け算と筆算の方法~5進法の積の練習問題★n進法の四則演算
今回は、n進数の掛け算(積)の筆算の手順と、筆算を使わない方法の2種類を解説します。
問題:5進法で表された2つの数\(123_{(5)}\)と\(24_{(5)}\)の積を5進法で表せ。 | |
題材:札幌医科大学(2017年)記数法、基礎レベル |
難易度:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
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まずは筆算を使った掛け算を紹介します。
n進数の掛け算~筆算を使った方法~
このように筆算の形に書き並べます。※掛け算のマークを書きこむと数字の並びがずれてしまうので、このページでは省略しています。
123
24
________
手順としては、掛け算の筆算と同じ方法で計算していきます。
まずは赤い部分を計算しますね。
3×4は12ですが、これを5進法で表現します。
12は2×5+2なので、22ですね。
なので、最初の3×4をした段階で、このようになります。
123
24
________
22
次に、2×4の掛け算をします。8となりますが、これは5進法で表すと13ですね。
※8は1×5+3なので。
その結果このようになります。
123
24
________
152
ここで注意!
5進法での表記は、5以上になると繰り上がらなければいけません。
なので、このように書き直します。
123
24
________
202
次に1×4の掛け算をします。4となります。5進法でも4のままですね。
その結果、このようになります。
123
24
________
602
…が5進法での表記は、5以上になると繰り上がらなければいけません。
なので、ここでもさらに、このように書き直します。
123
24
________
1102
次に赤色の部分を掛け算します。
123
24
________
1102
3×2ですね。
これは6となり、5進法で表すと11となります。
※6は1×5+1なので。
結果、こうなります。
123
24
________
1102
11
次に2×2の掛け算をします。
4ですね。5進法でも表記は4です。
結果、このようになります。
123
24
________
1102
51
ここでどうするかはもうお分かりですね。
繰り上げる必要がありますので、こうなります。
123
24
________
1102
101
最後に1×2をしてその結果の2を加えます。
123
24
________
1102
301
________
このようになりました。
あとはこれを足し算して終わりです。
その際、繰り上がりに注意してください。
123
24
________
1102
301
________
4112
この4112が5進法で表記された掛け算の結果です。
この方法は、2進数でも3進数でも通用するn進数の掛け算の一般的な方法になります。
続いて2つめの方法でn進法の掛け算を練習しましょう。
n進数の掛け算~筆算を使わない方法~
2つ目の方法は、文字式を利用した解法です。
問題:5進法で表された2つの数\(123_{(5)}\)と\(24_{(5)}\)の積を5進法で表せ。 |
x=5と置いて、
まずは、\(123_{(5)}\)と\(24_{(5)}\)の表現を変えます。
\(123_{(5)}=5^2+2 \cdot 5+3=x^2+2x+3\)
\(24_{(5)}=2 \cdot 5+4=2x+4\)
この表記で積を求めてゆきます。
\(123_{(5)}×24_{(5)}=(x^2+2x+3)(2x+4)\)
\(=2x^3+8x^2+14x+12\)
ここでもしも、各項の係数が4以下になっていれば、そのまま5進法の表記として解答することができます。 どういうことかと言うと、例えばここでもしも \(2x^3+4x^2+3x+1\) となっていれば \(2 \cdot 5^3+4 \cdot 5^2+3 \cdot 5+1\) ということなので、これは 2431 という5進法による解答ができる、ということですね。 なので、先程の \(2x^3+8x^2+14x+12\) も、そのような表現に持ち込むことを考えます。 |
\(=2x^3+(5+3)x^2+(2 \cdot 5+4)x+(2 \cdot 5+2)\)
\(=2x^3+(x+3)x^2+(2x+4)x+(2x+2)\)
これらを、展開、整理します。
\(=3x^3+5x^2+6x+2\)
ここでさらに、5進法による表記を可能にするために
各項の係数を4以下にします。
\(3x^3+5x^2+6x+2\)
\(=3x^3+5 \cdot x^2+(5+1)x+2\)
\(=3x^3+x \cdot x^2+(x+1)x+2\)
再びこれを整理すると、このようになります。
\(=4x^3+x^2+x+2\)
すべての項の係数が4以下になりました。
これで求める積の値を、5進法で表記することができますね。
\(4x^3+x^2+x+2\)
\(=4 \cdot 5^3+5^2+x+2\)
なので
求める積の値は
\(4112_{(5)}\)
ということですね。
以上、今回は、n進数の掛け算の方法について解説しました☆