エジプト旅行記:カイロのアイスは、美味しいと評判の食べ物だけあった!

エジプトアイス

これは、はるか数年前の学生時代のこと、友人と二人ではしゃいだエジプト珍道中についての記述である。

首都カイロにて出くわした『世界一の美味なるアイス』と『世界一の美味ならざるアイス』

正確な店名こそ忘れてしまったが、僕たちはエジプト首都カイロにて「ドエライおいしい」と評判のアイスのお店に足を運んだ。

にぎやかな大通りに面したその店は、確かにひときわ賑わいがあった。

少しならんで、僕はチョコレートアイスを購入した。

友達はマンゴーアイスである。

一口食べるなり、僕たちはその美味さに声をあげた。

あまりに美味なのである。

お互いのアイスを交換して食べてみたが、これまた驚く程に美味しい。

チョコレートアイスは、カカオ100パーセントに違いない!!

マンゴーアイスも、マンゴー100パーセントに違いない!!

そう思ってしまうほどに、実に味が濃いのである。

これがチョコレートアイスの味なのか…

ならば、日本でこれまで食べてきたあのチョコレートアイスは、なんだと言うのか…

別名が必要である!!

エジプトアイス

…とまあ、これほどのショックなのである。

このような衝撃には、覚えがあった。

以前、大学の下宿時代に、一人もくもくと音楽を聴いていた時があった。

あるとき、友達にすすめられて、友達所有のイヤホンを使って音楽を聴いてみた。

「いいから、これで聴いてみなって」

というのも、当時の僕は、イヤホンというものは、どれもさしたる性能の違いなどなかろうと思って、100円のイヤホンで、お気に入りの坂本龍一を聴いていたのである。

「なんだこれは!!」

聴いてみるなり、全身に電気が走った。

なんと、音に奥行きがある!!

なんて立体的なんだ!!

これまで自分は、ファミコンの電子音みたいな世界で、坂本龍一の世界に惚れていたというのか!!

おもちゃのようなピコピコとした音楽世界から、本物の電子音の世界へと、その友はいざなってくれた。

エジプトアイス3

と、例え話が少し長くなってしまったが、ともかくこのアイスの衝撃たるや、それぐらいの天変地異だったのである。

「…うますぎるやろ」

その時の僕たちの心象風景には、間違いなく壮大な宇宙が広がっていたことであろう。

僕たちは、『伝説のアイスの味』がその後も忘れられず、カイロを去る直前にも立ち寄ってみた。

が、なんたる神のいたずらぞや、その店は、お休み中とのことであった。

「しまった!ちゃんと空いている日を確かめておけばよかった!」

嘆いてみても、もう遅い。

いいかげんな僕たちにはよくあることであるが、今回ばかりはあの『宇宙まで飛んでいくような味』がなんとも名残惜しい。

エジプトアイス2

だめだ、あきらめきれない。

近くに同じような店はないものか。

大通りを歩きながら目を走らせる僕たちは、幸運にも、間もなく求めるものをとらえ得た。

あった!アイス屋さん!!

行こう!!

二人は、そこで果物のアイスを買った。

食べてみるとどうであろう、その味はまことになんともいえない気持ち悪い味がした。

…これは、新記録だな。

「似て非なるものほど非なるものはない」と岡本太郎がその著書のなかで言っていたが、まさに僕たちが求めていた「あの感動」とは似ても似つかぬ味が口いっぱいに広がったのである。

この味を友に表現するために、僕の脳内ではある記憶がひっぱりだされていた。

以前、僕とこの友達は、バングラデシュという国の空港で、アイスキャンデーを購入したことがある。

その時たしか友達は、食べてみるなりこう言った。

「…これ、ドブの味がしまっせ」

確かに変な味ではあった。

なんというか、色がどす黒くなるまでに、手当たり次第にフルーツを混ぜてしまったような味がする。

うまく表現することが難しいが『ぬんめりとした味』といった感じがした。

だが、僕はそんなに不味くはないと思っていた。

いや、むしろ美味しい方だとすら、感じ始めるほど、クセにさせてくれる魅力がそいつにはあった。

結局僕は、故郷からはるか遠いバングラデシュの空港で、『ドブの味がするアイスキャンデー』を友達の分まで2本、平らげたのである。

このようなエピソードを、その時僕は瞬時に思い返していた。

僕は彼のほうを向いて

「なあなあ覚えてる?バングラデシュでさあ…」

と、その思い出話をしてから、僕は友達にこう言った。

「あれよりマズイわ」

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