【コミック&エッセイ】エジプト旅行体験記:タクシーのウソは怖いこわいの巻
昔から僕は、砂漠というものに対する憧れがあった。
いつか、砂漠を舞台にした漫画を描きたいと思っていたら、ある日突然『砂漠で朝をつくる』という物語の断片を思いついた。
これは、月を食べる長い魚(のような竜のような生き物)が、世界を毎日生まれ変わらせている、という物語である。
短編漫画として、現在ゆっくりと制作中である。
このように、砂漠は僕にとって実に心そそられる風景であり、創作意欲をかきたてられる対象なのだ。
実際に僕は一度、エジプトの砂漠を立ち寄るという旅を、友達と二人でしたことがある。
あれは、思い起こすこと数年前。
学生最後の春休みのことだった。
今回は、その時の思い出の断片を、気ままに書いてみようと思う。
低予算でエジプトを縦断しようとすると、どうなるか?
その頃、僕たちはバックパッカー達もびっくりするほどの低予算で、エジプトを南下しようと試みていた。
あまりの低予算ゆえ、タクシーでぐるりと山頂の遺跡を目指すべきルートのところを、僕たち二人は最短ルートで崖をよじ登るという荒業をやってのけたりした。
それほどまでに低予算であったが、道中は実に楽しかった。
機会があれば別に書かせてもらうだろうが、トイレ掃除をしていた『スーパーマリオみたいなおじさん』に友達(男)の胸をワシづかみにされる事件など、幾多のイベントが僕たちを待ち受けていたのである。
帰国直前にあっては、公園にて豆と水のみの消耗戦に絶え、無事、帰還を果たしたのだが、以来、二度とこのような超低予算プランを組むことはなかった。
エジプトタクシーのマユゲ男とヒゲ男
エジプトへ入国したらば、ともかく相手の言うことをめったやたらと、真にうけてはならない。
というのも、日本人をターゲットにした手練の商売人たちは、やたらとウソ八百をふっかけてくるからである。
もちろん、素敵な方々との出会いも数多くあったが、日本で暮らしているときの感覚をそのまま持ち込んでは危険である。
例えばこんなことがあった。
最寄のバス停まで、タクシーをひろって行こうとした。
ところがタクシーのヒゲ男は冷静な面持ちでこう言い放った。
「ノーバス」
…バスが出ていない?
果たしてそうであろうか。
相手は以前として真顔である。
ああ、店員にウソをつかれたことがなどないという汚れの知らぬ日本の方々よ。
もしもエジプトにてそのようなヒゲ男に出くわしたらば「いいから行け!!」と日本語で叱りつけていただきたい。
十中八九、バスは出ているであろう。
にもかかわらず、この男は
「ノーバスなのだよ。つまりは、次の町までタクシーで行くよりほかないのであるよ日本人」
と言っているのである。
しかし、そのようなヒゲ男はまだマシなほうである。
一度など、なんとタクシーでの移動の最中にて、そのような大告白をされたことがある。
「ノーバス」
「え?」
これはもはや「話が違う」以外の何物でもない。
その時もやはり僕はシャウトした。
「いいから行け!!バスがなくてもいいからバス停へ行くのだ!!」
こういう時は強気が肝心である。
俺の言うことを聞かんかったら、今すぐこの場で降りて、別のタクシーを拾うぞこのマユゲ男!!
という態度をふんだんに臭わせなければならない。
エジプトタクシーの値段交渉から得た経験
旅を経験するにつれ、僕たちもその交渉術というものを少しづつ学んでいった。
例えば、現地で出会った日本人バックパッカー(彼らも学生であった)といっときの移動を共にすることがあった。
タクシーを拾う場合、2組に分かれて、2台のタクシーを同時に値段交渉するのである。
どちらか安いほうに乗るということが相手側にわかると、1台で交渉するときよりもスムーズに相場近くまで値が下がった。
やはり、旅は経験者に学ぶのが一番だとその時痛感したものである。